経産省は省エネ、国交省は建築物の省エネ、そして環境省はCO2削減を目的とした補助金です。それぞれ空調や照明などの設備更新及び施設改修に利用できます。環境省の主なCO2削減補助金の本年度の結果、そして来年度の実施状況について解説します。

 

CO2削減ポテンシャル診断推進事業と低炭素機器導入事業

CO2削減ポテンシャル診断推進事業と低炭素機器導入事業は、CO2診断(費用100万円全額補助)を実施した施設を対象とし、空調や照明などの低炭素機器導入費用の3分の1補助する事業です。

しかし昨年は一昨年に比べ100万円全額補助の診断事業への応募件数、採択件数ともに2倍になり、多くの予算が取れれた結果、低炭素機器導入事業への予算配分が少なくなり、1公募が12%、2次公募も29%と最悪な採択率になりました。

そこで30年度は上限額を3,000万円から2,000万円に下げて、採択件数を多くして採択率アップするという苦肉の策になりました。予算も限られ(数億円)ますので、CO2削減率が大きい申請から採択されますので狭き門であると言えます。

 

ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB

家屋を対象としたネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH:ゼッチ)に対して、ZEBはビルを対象とした省エネ補助金です。延床面積3,000㎡未満の施設が環境省、3,000㎡以上が経産省が管轄しています。経産省を解説した記事で解説してますので、こちらを御覧ください。

 

既存建築物における省CO2改修支援事業

この事業の①民間建築物等における省CO2改修支援事業に100床以下を対象とした中小規模老人福祉施設が今年度までありました。空調や照明ボイラーなどの導入費用の3分1を補助する事業です。31年度リニューアルします。(後述)

30年度の採択件数は予算配分の関係で23件と少なくなり、32年度は中小規模老人福祉施設を対象とした補助金の有無は不明です。

 

平成31年度 環境省 省CO2促進補助金

30年度の予算50億円に対して、31年度は85億円の予算を要求しています。満額決定されなくても本年度より大幅なアップが予想されます。

1.ZEB(経産省のブログにて解説)
2.既存建築物における省CO2改修事業
 ①民間建築物における省CO2改修支援事業
 ②テナントビルの省CO2改修支援事業
 ③空き家等における省CO2改修支援事業
3.国立公園 4.上下水道 (民間の施設を対象としないので省きます)

 

1.2.の実施期間は、平成31年度(2019年度)〜平成35年度(2023年度)と来年度から5年間実施さてます。下記に拡大表記しました。

 

 

①民間建築物における省CO2改修支援事業

既存建築物の改修前に比べ30%以上のCO2削減と少々ハードルは高いですが、補助率が1/2とアップします。注目しましょう。

②テナントビルの省CO2改修支援事業

設備投資はビルオーナーで、省エネにより費用削減メリットはテナント側にあるので、テナントビルの省エネ化は進んでいないのが現状です。ビルオーナーとテナントがグリーンリース契約を締結することを条件とした補助金です。

③空き家等における省CO2改修支援事業

31年度から新設される補助金です。空き家を業務用施設として利用することを条件とし補助率も2/3と大きいですので、空き家(ビル)オーナーには注目の補助金です。

 

現在は概算要求に対して各省庁と財務省とが折衝中です。12月に閣議決定、年明けに衆議院と参議院とで審議されて決定されます。

補助金の公募が始まってから検討準備しては間に合いません。今年中には施設調査を行うことをお勧めします。

<経産省|30年度 省エネ補助金の総括 31年度予想と対策>
 https://zero-energy.jp/blog/2707/

<国交省|30年度 省エネ補助金の総括 31年度予想と対策>
 https://zero-energy.jp/blog/2714/

作成 辻川英章