平成29年度補正予算「省エネルギー設備の導入・運用改善による中小企業等の生産性革命促進事業」補助金が、3月20日から公募開始になします。概要はこちらをご覧ください。
この補助金は、
平成27年度補正予算「中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業費補助金」や
平成29年度通常予算「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」(エネ合Ⅱ設備単位)とほぼ同様な内容です。
一昨年の27年度は公募金額が442億円もありましたので5次公募まで行いましたが、予算が余ったと思われます。しかし昨年の29年度は一転して公募金額が大きく減額され、採択金額が83.3億円となり、採択率も57.6%で不採択された案件が多くありました。
*平成29年度 エネ合Ⅰ、エネ合Ⅱの申請・採択結果
今回の29年度補正予算での公募金額は78億円で若干減額になりました。しかし年度末の繁忙期であり計測機器設置が義務付けられたことにより、申請数は減ることが予想されます。つまり採択率がアップするのではないでしょうか。
変更のポイント
(1)見える化装置(計測装置)の義務化
導入設備それぞれのエネルギー使用量を計測・蓄積し、事業後1年間の計測結果を報告することが義務化されました。要件は次のようになります。
1.設備区分毎に定める計測すべきデータを、一定間隔(1時間以内)計測可能であること。
2.一定の間隔をもって計測したデータ(計測すべきデータ)を一定期間(1ヶ月以上)蓄積可能であること。
機器に実装(内蔵)されている場合は、計測装置を設置する必要はありません。
(2)省エネ診断の義務化
エネルギー使用量のデータを元に、SIIが派遣する専門家の省エネ診断を受診することが義務化されました。その費用は無料。
(3)補助対象設備の変更
昨年から変圧器が補助対象設備から除外されました。一方冷凍庫や冷蔵庫に加え、冷凍ショーケースやコンディショニングユニット、冷凍冷蔵ユニットが追加されました。これによりスーパーなどの店舗で設置されているショーケースも対象になります。
冷凍冷蔵設備の対象範囲
(4)性能基準値の変更
照明の対象範囲及び基準値変更になりました。これにより特に100W相当以下のLED照明が基準値を満たすことができなく器具変更もしくは補助対象外とするなど対処が必要になります。
平成29年度通常予算 エネ合Ⅱ設備単位の高効率照明の基準値
平成29年度補正予算 生産性革命促進の高効率照明の基準値
注意するポイント
(1)成果報告が1年間の計測実測値での報告に変更
2019年4月から2020年3月までの1年間分のエネルギー使用実績データを基に、省エネルギー量を算出し、2020年5月29日までに成果報告書としてSIIへ提出することが義務付けられました。従来は3ヶ月後の成果報告でしたので、実測値でなく計算値でも認められましたが、今後は実測値のみになります。これにより申請時により正確に省エネ計算をすることが必要になりました。
(2)実績報告書提出期間の短縮
補助事業の完了は平成30年10月31日まで(支払い完了日)であり、実績報告書の提出期限が平成30年11月12日で、前回より約1ヶ月短くなりましたので、交付決定から迅速に工事することが必要になります。
(3)設備の型番登録の開始
今回より補助対象設備の型番登録が始まりました。これはメーカーが登録作業を行います。従来は申請された機器の型番及び性能値を、添付する仕様書やカタログの数値との確認作業が手間取り、また間違いが多いため再提出など煩雑な作業となっていたのを簡素化するためです。
しかし今回の補助金ではメーカーの登録作業が間に合いそうにないので、従来どおりの提出となるでしょう。
(4)評価について
評価項目は、省エネ効果(省エネ量、省エネ率)と費用対効果の2点です。特に費用対効果は、短くてもダメ、長くてもダメとここは微妙な部分です。ここでの解説はやめておきます。
以上、これら申請の参考にしてください。
なお省エネの方法や申請サポートも行っていますので、お声がけください。
辻川英章