省エネ補助金を利用した設備更新や施設改修をするには、(1)公募の種類と時期を知り、(2)既存設備の状態を知り、そして(3)改修計画を立てることです。あたり前のことですが、実際に行うとなると難しいかと思いますので、わかり易く解説します。

まず今回は「1公募の種類と時期を知る」を解説します。

省エネ補助金の省庁別の目的

経産省が「省エネ」、環境省が「省CO2、国交省が「建築物の省エネ」を目的として補助金を公募しています。予算金額は経産省が最も多く、環境省と国交省が続きます。(当サイトでは、3省のまとめて「省エネ補助金」と称して記載します)

各省庁が単独で公募する場合はもありますが、連携して公募する場合もあります。その他、車など輸送に関しては運輸省、農業や漁業は農水省が設備更新の公募を行っていますが、一般的な施設や設備については前述の3省が公募しています。3省の主な省エネ補助金をこちらで一覧表にしていますのでご覧ください。

なお都道府県や市町村が省エネ関連の補助金公募は、地域事情に合った内容で3省公募方針に沿って公募していますが、補助金額はそれほど大きくはありません。

省エネ補助金の公募時期

公募は年度初めの4月から6月に公募されます。しかし公募期間は約1ヶ月と短く、また公募内容が発表されるのはその直前ですので、それから準備したのでは間に合いません。事前情報を知り、準備が大事になります。

通常予算

8月末(予算要求)
各省庁から財務省へ補助金も含めた予算要求を行います。ここで政府や各省庁の方針等の概要がわかります。当然ながら削られることを想定して多めに要求してます。

12月中旬(閣議決定)
その後、予算要求に対して財務省と省庁が折衝し、12月中旬に政府が閣議決定を行い「予算案」を決定します。

1月~3月(議会審議、可決)
予算案のに対して衆議院、参議院で審議を行い3月末に採決を行い予算が決定します。

 

補助金の概算要求額

補助金の予算案額

上段の「概算要求額」は、経産省から財務省への金額で、下段の「予算案額」は、閣議決定した金額です。折衝の結果約50億円ほど減額になっています。

 

4月~6月(公募)
予算決定をもとに公募団体から公募が告知され、ここでようやく一般の方も知ることができます。公募内容の公開と公募説明会を実施して公募開始になります。告知から公募開始まで1~3週間程度、公募期間は約1ヶ月ですので簡単な補助金以外は事前準備が必要になります。

7月~12月(採択及び工事)
公募締切から1~2ヶ月程度で採択結果が発表されますので、それから発注(採択後の発注後が原則です)し工事を行います。

翌年1月~3月(実績報告及び補助金支払)
工事完了し業者へ支払完了した時点で事業完了になります。事業完了から1ヶ月以内に実績報告書及び精算払請求書を提出し、3月末までに補助金が振込まれます。(各補助金により多少違いはあります)

その後(成果報告)
設備交換や施工を行い、その成果を報告します。3ヶ月後と短いものもありますが、概ね1年間の成果を報告します。3年間報告が必要な補助金もあります。

下記は経産省の「省エネ補助金」のスケジュールです。申請、中間、実績、成果と4回書類を提出することになります。

公募申請スケジュール

補正予算

通常予算の他に補正予算が組まれることもあります。平成30年度は西日本豪雨や北海道地震による長期停電ブラックアウトに対する補正予算が組まれました。

例えば下記「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備導入推進事業」は、避難施設の電力を一定期間確保し、省電力設備に更新するための補助金です。具体的には太陽光+蓄電池やコジェネの導入、そして高効率空調や照明の導入に対しての補助金です。3月から公募が始まり、31年度(令和元年)9月まで6次募集を行なうことが決まっています。

30補正_地域防災

事前準備、ブログ、メルマガ、省エネ補助金セミナー

もうお分かりだと思いますが、翌年度の予算要求を行なう8月末から事前準備をじっくりと進めるのが良いでしょう。

実はここ2年ほど忙しくさせていただき、当サイトの更新やブログ、メルマガの回数が減っています。また毎年3月~5月に行っていた省エネ補助金セミナーを今年は開催しませんでした。サボっていたわけで失礼いたしました。

ブログやメルマガの回数を増やすとともに、春に行っていた省エネ補助金セミナーを9月~11月に開催することにします。詳細については別途お知らせします。

作成:辻川英章