平成30年度省エネ補助金申請はほぼ終了しました。また8月末には各省庁から財務省への来年度補助金の概算要求が行われ、来年度の概要がわかってきました。そこで今年度の採択結果の総括をするとともに、来年度の予想をしてみます。
経産省の施設用の主な省エネ補助金は、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(投資促進)のエネルギー使用合理化(エネ合)やネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)などです。
エネ合には、設備費+工事費を対象とするⅠ.工場・事業所単位と設備費のみのⅡ.設備単位があります。
29年度補正 革命促進 30年度 エネ合Ⅰエネ合Ⅱ
30年3月に公募された通称革命促進がありました。これはエネ合Ⅱとほぼ同じ内容です。
前年度エネ合Ⅱの採択金額約83億円に近い78億円の公募金額でした。補正予算での公募を予想してなかった事業者も多く、また年度末の忙しい時期でもあり、さらに見える化設備の設置が義務化されたことにより、特に照明の申請が少なかったようです。その結果予算が余り急遽2次公募されました。
そして5月末に2次公募が終わり、すぐに30年度のエネ合の公募が始まりました。
予算要求額672.6億円から600.4億円に減ったのは、78億円の補正予算があったからでしょう。
これらの公募結果は下記のようになりました。
革命促進の採択率は約94%と申請書に不備がなければほぼ採択されました。しかしエネ合Ⅱは約70%の採択率にとどまりました。エネ合Ⅱは見える化装置の設置が義務化されなかったので申請数が増えたのも要因ですが、採択金額73.5億円では少なく、補正予算で余った約20億円を上乗せして欲しいと思いました。一昨年は予算額が442億円もあり5次募集までありました。年度ごとの推移を確認することも重要です。
エネ合Ⅱに対してエネ合Ⅰの採択率は約61%と採択率は悪いですが、昨年の約39%、一昨年の約48%よりはアップしています。エネ合Ⅰは一般的な施設ではなく工場や工場内の設備を対象としており、また数年間計測や運用管理が必要なエネマネ事業もあり、上限が15億円と大きく大手企業の申請が多く、一般的な施設では年々難しくなっています。
ZEB
ZEBは延床面積3,000㎡以上が経産省、3,000㎡未満が環境省管轄の補助率3分の2の補助金です。
29年度の経産省は申請数29件に対して採択数28件。1件は不採択ではなく申請取下げであり、採択率は100%ということになります。環境省は申請数及び公募金額を公表してませんが、2次公募まであり同様の結果であったと推測します。
30年度の経産省は申請数35件に対して採択数19件。公募金額が28億円から15億円と3分の1に減り、採択率も約54%とダウンしました。環境省の採択件数も減っており同様の要因かと思われます。
31年度は一部補助率が2/3から1/2になり、多少採択件数がアップされると予想します。
これら省エネ補助金を申請する場合は、公募内容や予算額、それと過去との比較などを検討が必要です。
平成31年度 経産省 省エネ補助金の予想及び対策
8月末に財務省へ提出した平成31年度概算要求額は昨年度同額の約600億円です。
公募内容もほぼ同じだと推測しますが、公募開始になってからでないと公募内容はわかりません。
来年初旬までに設備調査を行い、3月には計画を立てて、4月以降に公募内容を確認しつつ、申請する補助金を決定する。公募開始になってからあわてて申請したいと相談を受けますが間に合いません。今から準備を開始しましょう。
<国交省|30年度 省エネ補助金の総括 31年度予想と対策>
https://zero-energy.jp/blog/2714/
<環境省|30年度 省エネ補助金の総括 31年度予想と対策>
https://zero-energy.jp/blog/2718/
作成:辻川英章