省エネ補助金を通して事業者の方とお会いしたり、現場調査に立ち会ったりすると、もう少し計画を立てて欲しいと感じることがあります。

企業経営していれば必ず計画を立てているかと思いますが、施設改修の計画を数年計画で立てている事業者は少ないように感じます。総務とか管理かと陽の当たる本業とは違うので、予算も営業部門より優先順が低くなってしまっているようです。故障してからでは遅いので守りをしっかり固めて欲しいところです。

通常の改修はメンテナンスですので費用がかかるだけです。
・しかし省エネ改修は、電気やガスなどの運用コストが減るので、改修費用を回収できます。
・さらに補助金を利用することで回収期間を短縮できますので、改修後は利益を生むと考えられます。
・つまりそれが「投資対効果」であり「省エネ率」とともに省エネ補助金の審査でも重要項目です。

下記は私が作成している省エネ計算書(例)の表紙部分です。

省エネ計算書_例

最下段に「投資回収期間:約6.4年 10年後:約700万円の削減効果利益なりなります。」と投資対効果を必ず記載してます。

省エネ補助金を見据えた見積もり依頼

2)既存設備の状態を知る一をもとに改修費用がどのくらいなのか、見積り依頼をしましょう。
 一般的な設備販売会社や工事会社は、導入設備のための現地調査を行います。そして見積書とともにメーカーで作成した「毎年〇〇万円のお得です」などと記載した省エネ計算書を作成してくれます。その際に金額ではなく電気やガスの削減量、できれば計算根拠がわかる省エネ計算書の作成を依頼してください。それを(2)既存設備の状態を知るで作成したエネルギー使用量及び費用に記入すると、費用対効果がわかります。

空調、照明、ボイラなどの設備の費用対効果、つまり投資した費用が何年で回収できるかが認識できますので事業主など費用責任者も決済しやすくなります。

見積り依頼は、省エネ補助金の経験がある会社へ依頼した方が良いかと思います。それは申請には既存設備の性能値記載や導入設備の比較計算が必要であり、また図面等も必要になります。

省エネ補助金申請を依頼され、これらの資料が無く調査や作成指導も大変で、お断りしたこともあります。ですので調査がまだのようであれば省エネ補助金を経験されている会社をご紹介することもしばしばあり、その方が私も安心です。

省エネ補助金の選択

これが私の仕事なのですが、一概にこれが良いですとは言えません。同じ設備であっても現状の状態や予算によっても違ってきます。また年度によって補助金の予算や基準も違い、昨年は西日本豪雨や北海道胆振地震によるブラックアウトにより「防災・減災」対策の補正予算補助金もあります。

(1)公募の種類と時期を知るで説明したとおり、翌年度の補助金は8月末の各省庁から財務省への予算要求で概要がわかりますので、それから翌年4月〜6月の公募に向け準備すると良いでしょう。

ただし、どの補助金が良いか選択は難しいので、経産省(省エネ)国交省(建築物の省エネ)環境省(省CO2)など広範囲で検討できる専門家に相談してください。私も専門家のひとりですのでご連絡いただければ相談に応じます。

エネルギー+システムチェンジ 省エネ+創エネ

(2)既存設備の状態を知るでも少し説明しましたが、これを提案し判断できる会社及びコンサルタントに依頼すると、より良いでしょう。ここで細かく説明しようと思ったのですが長編になりそうなので、別のブログにします。ごめんなさい。

1)エネルギーチェンジ
 ガスや重油の空調から電気の空調にしたり、灯油ボイラーをガスや電気に変えたりすることで省エネにつながる場合もあります。

1)システムチェンジ
 老人ホームや宿泊施設に多いのですが、セントラル空調から必要なエリアだけの個別空調にすることで大幅に省エネになります。また温度センサーや人感センサーにより空調や照明をコントロールするEMS(エネルギー・マネジメント・システム)を導入することで省エネになり、EMSは補助金の対象にもなります。

3)省エネ+創エネ
 「太陽光+蓄電池」を設置することで電気やガスの費用削減になります。Fit売電の補助金はもうありませんが、自家消費用で補助金もあります。また温泉熱やスーパー銭湯などの廃湯を熱交換して給湯や空調に利用する方法もあり補助金もあります。

8月末に各省庁から来年度の補助金予算要求ありますので、それを踏まえて準備を進めてください。

作成:辻川英章