平成29年度の「省エネルギー投資に向けた支援補助金」の予算額は672.6億円。
これがどのように募集され採択されたかをまとめました。
この補助金は、目的によって次の4通りで公募されました。
(1)エネルギー使用合理化(エネ合)
(2)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH:ゼッチ)
(3)ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB:ゼブ)
(4)省エネ改修補助金(断熱リノベ)
(1)エネルギー使用合理化(エネ合)
この補助金は、予算額234億円で次の2通りで公募されました。
エネ合Ⅰ(工場・事業場単位)→ 設備費+工事費の1/3補助
エネ合Ⅱ(設備単位) → 設備費の1/3補助
エネ合の採択結果は公表されており下表の通りです。
出典:環境共創イニシアチブ 事業区分別の採択概要はこちら
採択率はエネ合Ⅰが39.7%、エネ合Ⅱが57.6%と良くありません。
実はこの2つの補助金を昨年度は、別々の予算で公募され、エネ合Ⅰの採択率が約50%でしたが、エネ合Ⅱ(昨年の補助金名は「革命投資」)は応募が少なく5次公募までありました。そこで今年度は、予算不足のエネ合Ⅰと予算余りのエネ合Ⅱを同じ予算での公募としてバランスを取ったと思われます。
しかし、昨年のエネ合Ⅰの予算が180億円、エネ合Ⅱ(革命投資)の予算が442億円ですの、合計622億円でした。今年度の予算が234億円ですので前年対比約6割減となり、今年度は採択が厳しくなると予想していました。なおエネ合Ⅱ(革命投資)は27年度補正予算ですが、公募開始が3月ですので実質28年度予算と合算しています。
そこで、今年のエネ合Ⅱは2次公募は無いので1次で必ず申請するようにアナウンスしていましが、やはりと言うか「2次公募はいつですか?」と何人も電話をいただき、メール(メルマガ)を読んでないというか、忙しくて読んでいる時間がないのでしょうね。
なぜ、このように減額されたかを説明すると混乱すると思いますので、別に機会にブログを書くことにします。
(1)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH:ゼッチ)
住宅及び個別住宅の新築及び改修に際し、ZEHに要件を満たす高断熱建材や設備を備えた住宅に、定額75万円の補助金を支給。また蓄電システムには、補助対象経費の1/3(上限40万円)を支給する補助金です。
当初4次公募までを想定してましたが、現在10次公募が行われています。
応募件数に対する採択率は98%程度ですので、ほぼほぼ採択されています。
公募金額を合計すると297億円ですが、4次公募以降は公募金額が増えても採択数は減っていますので、交付金額は公募金額よりずっと少ないと思われます。
全国のハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者(ZEHビルダー登録業者)へ申請を依頼すると良いでしょう。
(3)ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB:ゼブ)
事務所、ホテル、病院や老人ホーム、学校などの新築及び改修において省エネ設備(断熱、ヒートポンプ、空調、給湯、照明、蓄電システムなど)費用と工事費の2/3(上限5億円)を支給する補助金です。ただし省エネ率50%以上を達成することが条件で、ハードルが高く補助率も高い補助金です。
延床面積2,000㎡以上は経産省、2,000㎡未満は環境省で募集されました。
経産省の応募件数は19件でしたので、ほぼほぼ採択されます。平成26年度から省エネ率50%以上とハードルが高くなった結果、設備更新だけでなく躯体の改修や運用改善も必要ですので、設計計画に半年から1年はかかります。
なおエネルギー基本計画(2014年4月閣議決定)において、「建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することを目指す」とする政策目標が設定されています。
もう設備更新だけの省エネルギーではなく、躯体の改修や運用まで行いましょうということです。ZEBについては別途解説する予定です。本気に省エネ改修をするなら費用の2/3補助されますから検討されてはいかがですか? 新築でも既存建築でもOKです。
(4)省エネ改修補助金(断熱リノベ)
補助対象製品(複層ガラス、窓、断熱材)費用と工事費用の1/3以内を補助。
上限額は、戸建住宅で120万円。集合住宅で15万円。
4次募集中ですが、集合住宅(全体)の公募は1次公募で終了しました。
採択金額は1次で約30億円で、2次以降は約1.5億円ですので、総額36億円程度だと思われます。
以上が平成29年度の経産省の主だった省エネ補助金採択状況です。なお近日中に環境省と国交省の今年の採択状況をアップします。
経産省は「省エネ」、環境省は「省CO2」、国交省は「建築物の省エネ」です。
作成:辻川英章